1.試行錯誤
ある日りんごの皮を螺旋に剥いたものに美しさを感じました。「これも生ゴミなんだな」と思いました。
生ゴミだって元は食べ物なのだから、もう少しきれいに処理できないかとも思いました。
「生ゴミが肥料になる」と聞いてからは、肥料を買う時に「生ゴミ堆肥を作ればこんなに買わずにすむのかな」
と思うようになりました。コンポスターは母も使っていたのですが、虫が湧くと聞き躊躇していました。
自然界では土の上にあるものは分解されていくことを思い出したので、とりあえず穴を掘って埋めて
みることからはじめることにしました。
1.とりあえず穴を掘って埋めてみたら、順調に堆肥化できました。
初めて埋めたのは6月頃だったと思います。
掘った穴に生ゴミを投入したら、土とよく混ぜてから生ゴミが完全に見えなくなるように厚めに土をかけました。
次の生ゴミは隣に穴を掘るようにして、1ヶ月以上たってから元の場所に戻る感じにしました。
上手く堆肥化してとても嬉しかったのですが、1〜3日置きに穴を掘るのがとても面倒に感じました。
2.穴を掘るのが面倒になったので、埋める回数を減らしました。
約一週間分の生ゴミを大き目の容器にためて、週に一度穴を掘って埋めました。
(試した時期が冬だったのでうまくいきましたが、夏は腐敗して匂ってしまうだろうと思います。)
3.EMボカシを使うことにしました。
寒さのせいか土に埋めた野菜がなかなか土にならないようなので、発酵促進剤を使うことにしました。
たまたま目についた「EMボカシ」というものを購入しました。
これは微生物の集まりのようなものです。
微生物に生ゴミを分解してもらうことによって発酵が促進がされるようです。
大き目の容器に溜めていた生ゴミに、EMボカシをかけてみました。
目的は「発酵促進」であったけれど、「生ゴミを腐敗させずに保存する」ような感じになってきました。
生ゴミが保存できれば外に埋める回数が減るのでとてもラクになります。
色々な微生物が入っているため、台所で空気を嫌う微生物にゆっくり分解してもらった後、
土に埋めると今度は空気の好きな微生物が活躍し、効率よく生ゴミを分解してくれるようです。
土に埋めると、そのまま埋めるより早く土にかえるようです。
台所では空気を嫌う菌が働けるように蓋を密閉させるなどして「嫌気発酵」しなければならないようです。
ゴミの重みで空気が遮断されてうまくEM菌が働くようなこともあったのですが、
私はラップを被せただけだったので、やはり悪臭が出てしまいました。
それで蓋付のバケツを使ってみることにしました。
4.悪臭が出ることが多くなってしまいました。
EM菌が活動できるように蓋付のバケツを使い始めました。
生ゴミは直接バケツに入れないで、ボウルに溜めて、一杯になったら移すようにしました。
EM菌はボウルに撒いたり、バケツに撒いてみたり、いい加減な感じで撒いてしまっていました。
たまたま臭いが出ないで上手くいったこともありましたが、ほとんどが失敗でした。
まず、生ゴミを蓋付バケツに移すことを毎日しなかったので、ボウルの中で既に生ゴミの鮮度が落ちて腐敗しやすい状態だったこと、
更に腐敗しているものも投入したこと、水が抜けるようになっていないのに水蒸気の出そうな完全に冷めていない物や水分の
多い物を投入してしまったことなど、今思うと失敗する原因になることばかりやってしまっていました。
この時期、バラの新苗を一本枯らしてしまいました。根の近くに生ゴミを施してしまったせいだと思います。
生ゴミは、分解される過程で強い酸性になってしまうため根が傷んでしまうようです。
また生ゴミには植物が死んでしまうくらいダメージを与える菌が寄ってくることがあるようなので、
常識ではありましたがやはり、植物の根から出来る限り離れた場所に埋めないといけないと痛感しました。
(植えたばかりの小さな苗にとってはダメージが大きく、逆にしっかり根を張っている植物だったら
同じ状況でも、あるいは枯れることはなかったのかもしれないと今では思っています。)
5.限界を感じたので「生ゴミ処理専用バケツ」を購入してみました。
水分を切ることが大事に思えたので、水を切る網がセットされている専用バケツを使いました。
出てきた水分は液肥として使えて一石二鳥のようです。
今度こそ!と思っていたのですが、ここでも気付かずにまた同じような失敗を繰り返してしまいました。
さらに凝固材で固めた廃油を細かくしたものまで投入してしまい、失敗に拍車をかけてしまいました。
液肥からも悪臭があり、専用バケツについてしまった匂いを取る為に水を張ったのが原因で、
水抜きコックから液ダレまでしてしまい、やむなく処分することになってしまいました・・・。
ここでようやく挫折感を味わいました。生ゴミはタダで捨てられるのだし、
こんなこともうやめようかとも思いました。失敗する度に落ち度を探して改善する努力をしてきましたが、
やっぱり捨てるしかないかと思い始めました。でもそうしたくないのは、EMボカシで処理した生ゴミがとてもいい堆肥になると
信じていたからと、自分の出す生ゴミを自分で処理できることに何だか喜びを感じていたからのような気がします。
でも何より、外の土に埋めてしまえば、腐りかけた生ゴミが何事もなかったように土に変わってくれたことが、
続けられた一番の理由だろうと思います。
そして、ようやく失敗の原因を冷静に探ることができました。
失敗の原因は?
(バケツに投入する前の生ゴミが既に水っぽい感じでした。)
- その日に出た生ゴミを、すぐにEM処理しなかった。(鮮度の落ちた生ゴミの投入は腐敗の原因になるので、
その日のゴミはできるだけその日のうちに処理する。)
- 腐敗したものも投入してしまった。
- 茶殻や果物の皮など、手で握ったらダラダラと水分が出そうな物も投入していた。
- 水蒸気が出そうな、まだ温かい茶殻や揚げカスを投入してしまった。
- EMボカシをケチって心持ち少なめに撒いていた。
- 凝固剤で固めた廃油を細かくしたものをいれてしまった。
(固めた油がEMで分解されると、水分が分離するせいではないかと思っています。)
- バケツがなかなか一杯にならず、1ヶ月以上放置した結果、腐敗の原因になった。
(こういったものが失敗原因になると思いますが、直接穴を掘って埋める場合は、
うまくいくこともあるのではないかと思っています。)
専用バケツを使わなくても成功するのでは?
(失敗の原因をなくしていき、必ず水を切って投入するようにすれば、
水分を取り出さなくても上手くいくのではないかとも思いました。)
生ゴミを保存する容器を選ぶポイント
- 密閉できるもの。(空気が嫌いな菌が活動できるように。)
- 生ゴミが投入しやすく、高さがあって空気に触れる面積が少ない方がいい。
- 20日〜一ヶ月以内でゴミが一杯になるくらいの大きさ。(3人家族の私は9.5Lのものを使っています。)
- バケツが一杯になった時、早くこれを埋めなきゃと焦らずにすむので2つあると便利。
ただ、これだと肥料や排水溝の臭い消しなどに使える「液肥」を得ることができません。
一般的には専用バケツの方が失敗が少ないのは明らかです。専用バケツなら水分についても、
それほど神経質にならないで成功するようです。
私は一度失敗した専用バケツを使う前に、値段が安いタッパーで試してみたかっただけで、
これに失敗していたら、やはり専用バケツを再び購入していたと思います。
成功しました!
(バケツに投入する前の生ゴミの水っぽさも無くなっていました。)
ボウルから生ゴミを投入するのにタッパーの蓋を開けても鼻の曲がるような悪臭はありません。
糠の香りと酸味のある匂いが混じった糠漬けのような臭いはあります。
オレンジの皮が混ざっている時は、いい匂いもしました。
これからやっていくのに自信が出てきたし、今までの努力も報われたようでとても嬉しいです。
中身は生ゴミですが、生きたEM菌の入った肥料だとも思っているので、
タッパーの中のゴミの表面を押し付けてきれいに平らにしたり、
タッパーの内側にゴミや水分が付かないように大事に扱っています。
それでこの作業は、糠漬けを作るのに似ているなと思いました。