クシヒゲハバチ(?)  

偵察? 場所決定
産卵 産卵跡
虫の様子

春、アブラムシのすぐ後に活動を始める黒いハバチです。
葉に止まることが多いのですが、ずっと見ていたら7枚葉の葉の葉柄の部分に止まり、まるで産卵するように お尻をくっつける行為をしました。ずいぶん長いなぁと感じるくらい同じ姿勢を続けた後は、お尻を離し少し前に進んで またお尻をつける、を繰り返しています。やっと終わったようで飛び立つと、すぐ近くの 葉の上に止まり満足そうに触覚のお手入れをしていました。
このハバチは、頭からお尻までの長さが6〜7mmでした。
産卵したと思われた葉を見てみると、幾つかの傷がついていました。
レースの葉の裏 初期の食害跡 この大きさでもう表皮は残さず食べるように
顔にある黒い点がかわいい・・・ これで約8mm 大きくなるとマットな色に
上の傷のある葉をケースで観察してみると、今まで「ヨトウムシ」だと信じて疑わなかった芋虫が 出てきたのでびっくりしました。
バラの葉を裏側から浅く齧り、スケスケにしてしまう小さな芋虫です。
よく見るとこれらの幼虫には腹脚が6対あって、ハバチの特徴が出ていました。
この芋虫は食べる量はそんなに多くないし新芽を狙うわけではないのですが、数が多いので 葉が醜い穴だらけになってしまうので本当に困ってしまいます。

最初は葉の中心部分から浅く齧りレース状にしますがやがて葉脈を残すように穴をあけるようになり、 その穴も次第に大きくなります。葉脈を残さずに食べれるようになる頃にはもう蛹になる頃なので 葉を食べる量は他の芋虫に比べて少ないのかも知れませんが、虫の数が多いこと、 食害跡を残す葉の枚数が多いことがあって、とても嫌な思いをする幼虫です。
繭 これも繭 葉の間に・・
この幼虫はケースで観察を続けてみました。
幼虫は、1cmくらいに成長すると体の色が肌色っぽくなり、 それから繭を作るような感じでした。繭を作る前は下の方も歩き回るらしく、ケース内に 水を張っていて溺死していたこともありました。
右側の写真のように、葉と葉を重ねて繭を作ることが多いようですが、 ケースの壁とケース内に入っていたオアシスの間でも繭を作ってしまいました。 でも、こんな場所に作ってくれたお陰で、劇的な羽化の様子を目撃することが出来ました!
蜂に! 黒くなってきた 脱皮できたようです
前日まで芋虫の形が出ていたのに、その翌日(発生を確認してから6日目くらい)には急に蜂の形になっていたのでびっくりしました。 色がふやけたような色で気になっていたのですが、蜂の形になった3日後には突然真っ黒になっていました。
羽化 見かけた成虫と同じ姿 元気!
午前中に黒くなったのを目撃し、その夕方には薄い殻を脱ぎ始め、羽化しました! まだ羽は透明で広がったままでした。ケースを軽くたたいても飛ぼうとせず、ノソノソと歩いています。 翌日見てみると、羽も黒くつやが出て元気そうでした。ケースの蓋代わりにしていたストッキングの 裏についていたので、もう飛べるようになったようです!
にっくきハバチなんですが、飼っていたこのハバチは逃がすことにしました。蓋を取ると上手に 飛んでいき、葉の上で休んでいました。またきっと私の庭で子孫を増やすのでしょうが、 その幼虫たちはまた退治していくつもりです・・・。
このハバチと同じと思われる、飛んでいた成虫を、大阪市立自然史博物館 に送らせていただいたところ、回答が帰ってきました。

それはクシヒゲハバチと考えられるとのことでした。
名前の通り、オスの触角がくし状になるので他のハバチと見分けることができるようです。
また、このハチの幼虫はバラを「葉裏から表皮を残して食害する」とあり、これもクシ ヒゲハバチかどうかの手がかりになるとのことでした。
バラの害虫として知られているハバチらしいです。

でも、このハバチの幼虫や成虫は、見た目で似ているものが多いようです。
「ノイバラと虫たち」(福音館書店1300円)にも、これとそっくりと思える 成虫が載っていますが、これは「葉に産卵するハバチ」として葉の淵に産卵するシーンが 紹介されています。
また、「大阪府病害虫防除所」 にこのハバチを写真で見ていただいたところ、このクシヒゲハバチとソックリな幼虫の 写真を見せてくださいました。
それは「クワガタハバチ」というハバチの幼虫でした。クワガタハバチは最近、増えているらしいこと、 家庭園芸の放任園で発生すること、アブラムシ防除がされていれば多発しないこと、などと教わりました。
このハバチにも食害されている可能性があるし、詳しいことはまだよくわかっていないので、 調べていけたらいいなと思っています。 また、オオシロオビクロハバチの成虫も、これに似た色格好をしているようです。 もう少し簡単な見分け方が見つかるといいなと思っています。

対処と効果

飛んでいる成虫を見かけたら除虫菊スプレーを一吹きすれば落ちます。それで完全に死ぬわけでは ないようなので落ちたら取り去ります。
葉の茎に産卵跡を発見したり幼虫を見つけたら、葉ごと取り去って捨ててしまっています。
葉が少ないような時や虫の数が多すぎて取りきれない時は「虫追祭(あざでらん)」「緑宝」「碧露」 などを散布しています。
発生してからでは手遅れに感じますが、薬のついた葉を食べないと効果が出ないので 辛抱強く撒くようにしています。
虫が発生する前にまめに散布していると発生の仕方が違う気もしています。
すぐに効果は見られないのでちょっと辛いですが、当分このやり方で続けるつもりです。

(散布剤については「病害虫」のトップページにある 「使っている薬」をご覧ください。)